こんにちは! ごりら(@goriluckey)です!!
この記事では京都市伏見区にある「藤森神社」についてくわしくご紹介します。
寺社仏閣の多い京都の中でも、藤森神社は203年創建とも伝えられるほど歴史が古い神社です。
現在では「勝運の神」「学問の神」「馬の神」として信仰を集めているほか、藤森神社が一時期保管していたと伝えられる名刀「鶴丸国永」により参拝客が増えています。
「藤森神社」の歴史・由緒
藤森神社は「鳴くよ うぐいす 平安京」の平安遷都のはるか以前の203年に創建されたと伝えられています。
神功皇后が新羅(古代の朝鮮半島南東部の国家)から凱旋した後に纛旗(いくさ旗)を立てて兵具を納め、塚をつくり、祭祀を行ったのが藤森神社の縁起とされているんですね。
その塚(御旗塚)が藤森神社の本殿の東にあるんですよ。
本殿の中央には神功皇后の三韓征伐に関係する7柱(「柱」は神様を数える単位です)の神様がお祀りされています。
さらに興味深いのが千本鳥居で有名な伏見稲荷大社と藤森神社の関係なんですよ!
実は現在の伏見稲荷大社はもともと稲荷山の三ヶ峰にお社があったんですが、室町幕府の将軍・足利義教によって稲荷山のふもと(現在の伏見稲荷大社の場所)に遷座された(うつされた)んですね。
その時に稲荷山のふもとにあった藤尾社が藤森神社に遷座し、本殿東殿に祀られました。
ちなみに、そのタイミングでもともと藤森にあった真幡寸神社が現在の城南宮へ遷座されています。
ま、まるで会社の「玉突き人事」みたい…
現在の伏見稲荷大社の境内(表参道沿い)には藤森神社の御祭神でもある舎人親王を祀る藤尾社がありますよ。
「藤森神社」のご利益
藤森神社の本殿には12柱もの御祭神がお祀りされています。
その御祭神や長い歴史の経緯から現在の藤森神社は主に3つの信仰を集めています。
勝負・勝ち運|藤森神社は「菖蒲の節句」発祥の地
三韓征伐にまつわる7柱の御祭神が本殿に祀られているほか、藤森神社で戦勝祈願をしたとされる早良親王も本殿西殿に祀られており、御祭神には武神が多いんですね。
また毎年5月5日に行われる藤森祭は「菖蒲の節句」発祥の祭と言われています。
「菖蒲」→「尚武」→「勝負」と通じるため、藤森神社は勝負・勝ち運の神様として信仰を集めているんです。
藤森祭では3基(中座・東座・西座)の御神輿とともに武者行列が藤森神社の氏子地区をまわります。
ちなみに武者行列は氏子地区の町内が当番制で毎年順番に担当しています。
学問|『日本書紀』を編纂した舎人親王を祀る
現在の伏見稲荷大社の地から藤森神社の本殿東殿に遷座された藤尾社は舎人親王を御祭神としています。
舎人親王は日本最初の歴史書である『日本書紀』を編纂した人物であることから、藤森神社は学問の神様としても信仰されています。
本殿の近くには舎人親王崇敬碑が建てられ、受験生の合格祈願が書かれた絵馬も飾られています。
馬|競馬関係者(馬主・騎手など)・競馬ファンの信仰が厚い
毎年5月5日の藤森祭では南門近くから拝殿に向かって一直線に伸びる参道で駈馬神事が行われます。
この駈馬神事により藤森神社は競馬関係者や競馬ファンの信仰を集めているんですね。
藤森神社の境内にはとにかく「馬」にまつわるものがすごく多いんですよ! ざっとご紹介しますね!
神馬像
手水舎のそばには神馬像が建っています。
方向的には本殿へ向かって走っている感じですね。よく近所の方がにんじんをお供えされています。足元ににんじんが置かれていますよね!
競馬ファンの熱い願いが描かれた絵馬
競走馬が描かれた絵馬には「万馬券を取れますように! 」「応援している馬がG1レースを勝てますように! 」など競馬ファンの熱い思いが書かれているので、同じ競馬ファンならほかの人の絵馬を見るのも楽しいと思いますw
絵馬舎に奉納された競馬の絵画
ご祈祷受付の向かいにある絵馬舎には奉納された競馬の絵画が飾られていますよ。
一番目立つ位置に飾られている絵画には「フジヤマケンザン(1992年〜1996年まで競走馬として活躍)」(左)と「藤森特別(JRAのレースの名前)」(右)が描かれています。
ファンファーレが流れる自動販売機
参集殿・宝物殿の前にある自動販売機もおもしろいですよ。
自動販売機に馬のプリントがされているだけではなく、お金を入れてボタンを押すとファンファーレが流れる仕組みになっています。
競馬ファンなら買わずにはいられないですよね!
「藤森神社」の御朱印
御朱印は神社やお寺を参拝した証しとして授与される印のことですが、藤森神社には複数の御朱印があります。
御朱印の種類・料金は?
藤森神社では通常の御朱印のほか、名刀「鶴丸国永」の御朱印や期間限定の御朱印などさまざまな種類の御朱印が授与されていますよ。
藤森神社の御朱印
- 通常の御朱印: 初穂料300円
- 「鶴丸国永」の御朱印: 初穂料500円
- 「舎人親王」の御朱印: 初穂料500円
- あじさい祭の御朱印: 初穂料300円
また藤森神社は複数の神社やお寺をまわって御朱印を集める「御朱印めぐり」の1社に名を連ねています。
藤森神社が関連する御朱印めぐり
- 京都十六社朱印めぐり: 毎年1月1日〜2月15日
- 伏見五福めぐり: 毎年1月1日〜1月15日
- 京都刀剣御朱印めぐり
御朱印をもらえる場所・時間は?
藤森神社の御朱印はご祈祷受付でもらうことができます。受付時間は毎日9:00〜16:00です。
「藤森神社」の境内
藤森神社の境内は広いですが、通常の参拝であれば所要時間は30分〜1時間程度です。
藤森神社の境内のようすをご紹介しますね!
本殿
藤森神社の本殿は1712年に中御門天皇より賜ったもの。
もともとは宮中内侍所(賢所)であった建物で、現存する最古の賢所です。国の重要文化財に指定されています。
な、なんだか難しいですが、とにかくめちゃくちゃ貴重ですんごい建物であることはわかりますね。雰囲気もあります!
ちなみに賢所は宮中において三種の神器のひとつ「八咫鏡」を祀る場所のことです。
拝殿(割拝殿)
本殿の手前にある建物が拝殿です。
藤森神社の拝殿は「割拝殿」となっており、建物の中央を参道が通っているちょっと珍しいタイプの拝殿です。
この形式の拝殿は藤森神社と同じく伏見にある御香宮神社にも見ることができます。
拝殿は節分の豆まきで使われたり、藤森祭の御神輿が飾られたりします。また地域のイベントの舞台として使われるなど幅広く活用されていますよ。
境内にあるお社・末社
本殿の裏には5つのお社・末社が並んでいます。
いずれも小さなお社ではありますが、八幡宮社と大将軍社は1438年(室町時代)に建てられており、国の重要文化財に指定されています。
大将軍社は平安遷都の際に都の四方に祀られ、藤森神社の大将軍社は南方の守護神として建てられたんですね。
京都の四方を守護する大将軍社
- 東: 大将軍神社(京都市東山区)
- 西: 大将軍八神社(京都市上京区)
- 南: 藤森神社の大将軍社(京都市伏見区)
- 北: 大将軍神社(京都市北区)または今宮神社の大将軍社(京都市北区)
本殿の東には伏見稲荷大社の千本鳥居を思わせる鳥居が建ち並び、その先に藤森稲荷社があります。
稲荷神社のシンボルとも言うべききつね像も左右に配置されていますが、伏見稲荷大社のきつね像とは違って愛嬌のある表情をしていますね。
参集殿・宝物殿
拝殿の南にある大きな建物が参集殿・宝物殿です。
宝物殿には刀剣や武具、鳥羽伏見の戦いで薩軍が使用した大砲などが展示されているほか、人気のオンラインゲーム『刀剣乱舞』のファンによって奉納された「鶴丸国永」のグッズもきれいに展示されています。
宝物殿は無料で見学できるのでぜひ入ってみてくださいね!
絵馬舎
参集殿の向かいに絵馬舎があります。
外から見える2枚の絵画のほか、絵馬舎の天井にも奉納されたたくさんの競馬の絵画が飾られていますよ。
おー!! 『ウマ娘』に出てくるトウカイテイオーもいるー!!
藤森神社が『ウマ娘』の聖地となる日が来るかも知れませんね。
手水舎
絵馬舎の北、神馬像の近くに手水舎があります。
一見ふつうの手水舎に見えますが、実はちょっとおもしろい言い伝えがあるんです。
手水鉢の台石に注目してください! 苔が生えているのが台石ですね。
なんとこの台石は宇治浮島にある十三重石塔の上から五番目の笠石をあの天下の大泥棒・石川五右衛門が盗んで来て寄進したという言い伝えが残されているんですよ!
だから現在の十三重石塔はその部分だけ新しく色が違うらしいです。
えーーー!? 本当に??
ま、まあ、こういう言い伝えっておもしろいじゃないですか…
不二の水
藤森神社のある伏見は良質な伏流水に恵まれており、伏見の酒づくりにも生かされているんですね。
藤森神社の境内にもその水が湧き出ていて「不二の水」と名付けられています。この水は飲み水としても利用できるので地元の人たちが水を汲みに足を運びます。
本殿の東側に水汲み場がありますよ。
藤森神社の境内の見どころはほかにも!
ほかにも藤森神社の境内の見どころがあるので、ご紹介しますね。
伏見城の石垣
藤森神社の南門、西門の入口には石垣がありますが、これは伏見城が取り壊しになった時に城壁の一部が奉納されたものです。
建造当時に刻まれた大名のしるしが確認できる石もあるんですね。歴史好きにはたまらない石垣です!
クスノキ
藤森神社の境内には大きなクスノキがいくつもありますが、特に本殿の近くにあるクスノキは立派です。
「区民の誇りの木」と言われているのも納得できますね。
藤の花
絵馬舎と手水舎の間にある駒札(立て札)にはこんな和歌が書かれています。
むらさきの雲とそよそにみへつるは 木高き藤の森にそ有ける 小侍院
「藤森」という名前からはこの和歌に詠まれているような藤の花が咲き誇るイメージを思い浮かべますよね。
「むらさきの雲」と言うにはほど遠いですが、春には藤の花が咲くんですよね。
「むらさきの雲」見てみたいですよねー!
「藤森神社」の神事(年中行事)
藤森神社では1年を通してさまざまな神事が催されます。
初詣
元旦の朝には歳旦祭が執り行われ、藤森神社の境内は初詣客でにぎわいます。
とは言うものの、お正月の3が日に約250万人もの初詣客が訪れる伏見稲荷大社のようなことはなく、地元の人たちが参拝に訪れる感じですね。
節分祭並追儺式
節分の日には京都の多くの神社やお寺で節分祭が行われます。(吉田神社の節分祭が有名ですね! )
藤森神社でも20:00から拝殿で追儺式があり、迫力満点の鬼たちが大暴れしたり、豪華景品が当たる豆まきが行われたりするんですよ。
藤森祭の駈馬神事
藤森祭は「菖蒲の節句」発祥の祭と言われ、少なくとも鎌倉時代末期にはすでに行われていた記録があります。
南門の近くから拝殿に向かって馬が駆け抜ける「駈馬神事」は見応えのある神事ですよ。
乗子さんが馬上で文字を書く「一字書き」などさまざまな曲芸を披露してくれます。
藤森祭の期間中、境内はたくさんの露店で埋め尽くされているので、近所の子どもたちにとっては神事よりもこちらの方が楽しいんですよね。
子どもの頃はおこづかいを握りしめて遊びに来ていました!
あじさい祭
毎年6月15日には「紫陽花祭」の神事が執り行われます。
また藤森神社の境内にある2つの紫陽花苑では6月〜7月にかけて3,500株ものあじさいの花が咲き誇り、藤森神社の参拝客の目を楽しませます。
紫陽花苑は入苑料300円で第一、第二どちらにも入ることができますよ。
夏越大祓式
1年のちょうど半分が経過する6月30日には多くの神社で「夏越の祓え」が行われます。
「夏越の祓え」とは半年間のけがれを清めて後半も無事に過ごせるようにお祈りをする神事です。
「夏越の祓え」では境内に設置された「茅の輪」をくぐることで無病息災や厄除の祈願をするんですね。
藤森神社では6月30日の数日前に本殿と拝殿の間に「茅の輪」が設置され、参拝客は自由にくぐることができるようになっています。
「茅の輪」のくぐり方にはルールがあるんですが、その方法が書かれた看板が「茅の輪」のそばに立てられているので見ながらやってみてくださいね。
「藤森神社」の情報・アクセス
藤森神社の情報やアクセス、お役立ち情報をまとめておきます。
「藤森神社」の情報
こちらは藤森神社の情報です。
住所 |
〒612-0864 京都市伏見区深草鳥居崎町609 |
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拝観時間 |
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拝観料 |
無料 |
御祭神 |
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「藤森神社」の行き方・アクセス
藤森神社は電車(JR奈良線、京阪電車)によるアクセスも良く、また、ふだんは境内にある駐車場(有料)を使うこともできるのでクルマでの参拝も可能です。
藤森神社の最寄駅は3つあります。
藤森神社の最寄駅
- JR奈良線・JR藤森駅
- 京阪電車・墨染駅
- 京阪電車・藤森駅
くわしい情報はこちらの記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
南門
藤森神社の南門です。JR奈良線・JR藤森駅や京阪電車・墨染駅で下車した場合は南門から入ることになります。(駐車場もあります。)
南門の近くには小さな子どもが遊べる公園もありますよ。
西門
京阪電車・墨染駅、藤森駅で下車して直違橋通りを歩いていると西門に到着します。
(墨染駅からは北へ、藤森駅からは南へ歩きます。)
参道の両端にある石垣は伏見城の取り壊しの際に奉納されたものです。
北の入口
北の入口は駐車場のゲートが設置されています。(人も通行できます。)
藤森神社のトイレ
藤森神社の境内にはトイレが2箇所あります。
1つ目は南門近くにある藤の森公園のトイレです。
こちらのトイレの方が清潔感があると思います! 「バリアフリートイレ(多目的トイレ)」もありますよ。
もう1つのトイレは本殿の西側にあります。入口部分が木で隠れているので気づきにくいかも知れません。
まとめ|藤森神社
この記事では「藤森神社」をご紹介しました。
平安遷都のはるか以前に創建された古社らしい落ち着いた雰囲気のある神社ですよ。
「勝ち運」を得るために大勝負の前にお詣りしてみてはどうでしょうか!?