こんにちは! ごりら(@goriluckey)です!!
京都・伏見にある藤森神社で貴重な匠の技術をわずか数メートルの距離で見ることができました!!
この記事では刀匠・藤安将平氏による藤森神社への「折り返し鍛錬」奉納(2018年6月開催)をご紹介します。
日常生活の中で日本刀づくりを見る機会はなかなかありませんよね。それも国内最高峰の刀匠の日本刀づくりを!
国内最高峰の刀匠・藤安将平氏
藤森神社で日本刀公開鍛錬を奉納したのは刀匠・藤安将平氏。とてもやさしそうな表情をされているのが印象的です。
どことなく宮崎駿監督に似ている感じがしますね!
藤安刀匠は昭和21年に福島県伊達郡で生まれ、現在の活動拠点も福島に置かれています。現在の日本において最高の技術を持った刀匠と言われている、すごい人なんです!
人格そして技量に於いても、人間国宝や無鑑査に認定されるべき人物だが、表の世界に出るのを拒み、今尚福島県立子山で黙々と作刀研究に勤しむ生粋の職人肌刀匠である。
出典: 『美術刀剣 刀心』
名刀「鶴丸国永」と藤森神社、藤安刀匠の関係とは!?
さてさて、藤安刀匠が福島から京都・伏見にある藤森神社へ来られたのは名刀「鶴丸国永」が縁なんです。
現在では皇室の御物(私有品)となった「鶴丸国永」ですが、なんと藤森神社が所有していた時期があったそうです。
太刀・名物『鶴丸』は、平安時代の刀工・三条宗近の弟子である五条国永によって作刀され、北条家に伝来した後、織田信長、幕臣三枝勘兵衛が所持し、三枝勘兵衛が手放した後より伊達家に渡るまでの一時期、当社の祭礼等において御神前に奉献されていたと伝えられています。
出典: 「太刀『鶴丸』(写し)奉納に際するお礼とお願い(藤森神社社務所発行)
太刀・名物「鶴丸」(写し)公開展示
その「鶴丸国永」の写し(表現が正しいのかはともかく、わかりやすく言うと「レプリカ」のことです)を作刀し、藤森神社へ奉納したのが藤安刀匠なんです。
古来、刀工・刀剣界の夢でありました「古刀再現=室町時代以前」に具体的に作刀を続ける中で、「古刀再現」の、糸口を見い出した全国で初めての刀匠で、数多くの古刀再現に心血を注がれておられます。
出典: 『藤森神社』
2018年1月、「鶴丸国永(写し)」は藤安刀匠により藤森神社へ奉納され、宝物殿に展示されています。
宝物殿は拝観料無料です。「鶴丸国永(写し)」のほか、作刀する際に使われた木型、火造り、押し型もいっしょに展示されています。
「鶴丸国永(写し)」の展示
- 期間: 2018年1月20日(土)〜約1年間
- 拝観時間: 9:00〜17:00
- 場所: 藤森神社「宝物殿」
- 拝観料: 無料
宝物殿には刀剣のほか、「馬の博物館」(藤森神社は馬の神社として知られています! )や武具などが展示されています。
鳥羽伏見の戦いで薩軍が使用した大砲・先込式大筒もありました!
また、藤森神社はオンラインゲーム『刀剣乱舞』のファンにとって「鶴丸国永」にゆかりのある聖地として人気があるんですね。
なんと宝物殿には「鶴丸国永」のグッズがたくさん奉納されていました!
太刀『鶴丸』(写し)奉納記念授与品
「鶴丸国永(写し)」の奉納を記念して藤森神社ではオリジナルグッズの販売がされています。
「鶴丸国永」が描かれた御朱印はめちゃくちゃかっこいいですね! これは御朱印コレクターにはたまらない一品なのでは!?
太刀『鶴丸』(写し)奉納記念授与品
- 特別御朱印: 初穂料500円
- マスキングテープ(2種類): 初穂料・1個300円
- クリアファイル(2セット): 初穂料・1セット600円
- 絵葉書(3枚組): 初穂料400円
- 太刀象嵌手板: 初穂料15,000円
- 花小刀: 初穂料70,000円
- 小柄小刀: 初穂料80,000円
日本刀公開鍛錬(折り返し鍛錬)奉納
「鶴丸国永(写し)」の奉納で藤森神社と縁ができた刀匠・藤安将平氏が続けて奉納することになったのが「日本刀公開鍛錬」なんですね。
カタチのある物品だけでなく、例えば「演舞」が奉納されることもあります。
「日本刀公開鍛錬奉納」では藤安刀匠が日本刀をつくる工程の一部を奉納するということなんですね。
日本刀公開鍛錬(折り返し鍛錬)奉納
- 日程: 2018年6月16日(土)・17日(日)
- 時間: [1]9:30〜 [2]12:00〜 [3]15:30〜(16日のみ)
演舞であれば「拝殿」で奉納されるのですが、今回はそういうわけにはいきません。「日本刀公開鍛錬奉納」は宝物殿の近くで執り行われました。
日本刀はこうしてつくられる!!
奉納がはじめられる前に日本刀の製造工程が書かれた資料が配られました。
日本刀の製造工程
- 卸金
- 積み沸かし
- 折り返し鍛錬
- 造込み
- 素延べ
- 火造り
- 荒仕上げ
- 土取り
- 焼き入れ
- 鑢かけ
- 茎仕立てと銘切り
おおー!! 日本刀ってこんなに細かい工程を重ねてつくられるんですね!!
「折り返し鍛錬」とは
「日本刀公開鍛錬奉納」では日本刀をつくる工程の中の「折り返し鍛錬」が奉納されます。
藤森神社の参道の一部に「折り返し鍛錬」の道具が用意されていました。
配布資料によると「折り返し鍛錬」はこのように説明されています。
何度も折り返すことで、鋼の質を均一にし、不純物を絞り出して純良な鋼にする。これは皮金(かわがね)となる。
出典: 「日本刀公開鍛錬(折り返し鍛錬)奉納」配布資料
何度も折り返すためには鋼を高温で熱する必要があります。お弟子さんが火床の準備をされていました。
これが鋼を熱する火床です。
高温になった火床に鋼を入れ、熱しています。
鉄と鉄を引っ付けるために泥汁や藁灰をかけるようです。
なんと藁灰は高温で溶けるとコーティングの役割を果たすんですって!
ど迫力の「折り返し鍛錬」!!
「日本刀公開鍛錬奉納」がはじまるとたくさんの人が会場を取り囲み、刀匠の動きに見入っていました。
鞴を使って火床に空気を送り込むと炭がバチバチと焼ける音がして火の粉が舞います。
高温で真っ赤になった鋼を取り出し、折り返し鍛錬がはじまりました。
見てください、これ! 高温で熱された鋼が輝いています…!
お弟子さんの大槌が藤安刀匠の手鎚に振り下ろされる度にキーン、キーンという大きな音が響きます。ほんの数メートルの距離しかないので、めちゃくちゃ迫力があります。
名刀「 #鶴丸国永 」の写しを作刀した刀匠・藤安将平先生の「折り返し鍛錬」奉納。 #京都 #藤森神社 pic.twitter.com/upMnORKkkR
— ごりら@子育てブロガー (@goriluckey) 2018年6月17日
火花が飛んで来てものすごい迫力でした!
名刀「鶴丸国永」関連品の販売
「日本刀公開鍛錬奉納」の会場では「鶴丸国永」関連品の販売もされていました。
名刀「鶴丸国永」関連品
- 「鶴丸国永」銘切りプレート(金消し): 12,000円
- 「鶴丸国永」銘切りプレート: 4,000円
- 「鶴丸国永」てぬぐい: 2,000円
これが「鶴丸国永」の文字が刻まれた銘切りプレートです。金と銅の2種類がありました。
銘切りプレートの裏には藤安刀匠により好きな3文字を入れてもらえるそうです。
正直なところ、値段はけっこう高いと思うんですが、めちゃくちゃ売れていましたよ!
「鶴丸国永」のてぬぐいはこんなデザインでした。シンプルでかっこいい!
お弟子さんたちが頭に着用されていましたよ!
日本刀づくりを詳しく説明してもらえる
「日本刀公開鍛錬奉納」が終わるとお弟子さんたちが日本刀づくりについて詳しく説明してくれました。
均一になった鋼
これは鍛錬によって表面が平になった鋼。実際に手で触らせてもらったんですが、本当にびっくりするぐらい平なんです!
それに、これ、けっこう重たい…! それを藤安刀匠は片手で持っていたんですね。すごい腕力ですよ!
鞴
火床に空気を送り込む鞴の中身です。このタワシのような部分はたぬきの毛とのこと!
この棒を出し入れすることで、空気の流れが生まれるんですね。
棒を出し入れすると、反対側にある正方形の部分が開閉します。
のろ(不純物)
「折り返し鍛錬」を行なうと火床に「のろ」と言われる不純物が落ちるのでそれを取り除く作業です。
鞴を横から見るとこんなふうになっているんです。
これが鋼から絞り出された不純物「のろ」です。これを取り除かないと空気が送り込まれる穴をふさいでしまうんですね。
子どもが「折り返し鍛錬」に挑戦!
「日本刀公開鍛錬奉納」が終わった後、近くにいた子どもが藤安刀匠に呼ばれて「折り返し鍛錬」をさせてもらうことになりました!
フラフラしながらも藤安刀匠の小槌にうまく振り下ろせると観客から拍手が沸き起こっていました。
藤森神社の情報・行き方
最後に藤森神社の情報・行き方をご紹介しておきますね。
藤森神社は京都市伏見区にあり、諸説あるものの、創建は203年と伝えられるほど古い歴史のある神社です。
住所 |
〒612-0864 京都市伏見区深草鳥居崎町609 |
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拝観時間 |
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拝観料 |
無料 |
主な神事(年中行事) |
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藤森神社のまわりには3つの駅があるので、電車でのアクセスもとても良いです。
特にJR奈良線・JR藤森駅からは改札を出て坂をまっすぐ下れば到着しますよ。
藤森神社の最寄駅
- JR奈良線・JR藤森駅: 徒歩5分
- 京阪・墨染駅: 徒歩8分
- 京阪・藤森駅: 徒歩10分
藤森神社は京都市内のほかの観光スポットに比べるとそれほど参拝客は多くないので、ふだんは駐車場も満車になることはありません。
くわしくはこちらの記事にまとめているのでチェックしてみてくださいね。
まとめ|刀匠・藤安将平による藤森神社への『折り返し鍛錬』奉納
この記事では刀匠・藤安将平氏による藤森神社への「折り返し鍛錬」奉納(2018年6月開催)をご紹介しました。
国内最高峰の技術を持った刀匠の技術を近くで見る機会はなかなかないと思うので、すごく貴重な体験ができました。
2018年中は藤森神社の宝物殿に藤安刀匠が奉納された「鶴丸国永(写し)」が展示されています。
機会があればぜひ足を運んでみてください。
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藤森神社は「勝ち運」「馬の社」として知られており、特に5月の藤森祭で行われる駈馬神事が有名です。
駈馬神事では参道を疾走する馬の上でさまざまな技が披露されるんですが、これがめちゃくちゃ迫力があるんですよ!