大手広告代理店の新入社員が2015年12月に投身自殺で亡くなったのは過労が原因だったというニュースに関連する記事をたくさん目にしました。
今回は新卒社員を劣悪な労働環境から守るのは社会の責任においてしっかりやろうぜって想いを書きました。
大手広告代理店の労災認定
いくつかのニュースや亡くなられた新入社員の方のTwitterを拝見しました。
新入社員の方が自ら命を絶つという超最悪な結果につながった原因が大手広告代理店の体制にあったのは事実のようですね。
長時間労働を訴えるツイート…
1日20時間とか会社にいるともはや何のために生きてるのか分からなくなって笑けてくるな。
— まつり (@matsuririri) 2015年12月17日
セクハラを嘆くツイートも…
男性上司から女子力がないだのなんだのと言われるの、笑いを取るためのいじりだとしても我慢の限界である。
おじさんが禿げても男子力がないと言われないのずるいよね。鬱だ〜。— まつり (@matsuririri) 2015年12月20日
私の仕事や名前には価値がないのに、若い女の子だから手伝ってもらえた仕事。聞いてもらえた悩み。許してもらえたミス。
程度の差はあれど、見返りを要求されるのは避けて通れないんだと知る。— まつり (@matsuririri) 2015年12月14日
ツイートを読めば彼女が追い詰められていく気持ちがすごく伝わってきて胸が締めつけられる思いがします。
ですが、ごく一部なんでしょうけれども自殺したことが「あまえ」といった意見があることに正直おどろいています。
ええか?
24歳の子が長時間労働が原因で自殺してんねんから100%社会の責任じゃ!
と言うことで、この事件の記事を拝見してから、わたしは2つの視点でずっと考えています。
ひとつは同じ労働者の立場として、もうひとつは親の立場として。
労働者の立場として
わたし自身もサラリーマンですし、もちろん新卒1年目という時期もありました。
大手広告代理店の新入社員の方が亡くなられたのは12月。自分自身がどうだったかというのを思い出してみると、わたしも新卒1年目の12月ごろはまさに暗黒の時期でした。
業種や職種、会社によって状況はさまざまですが、新入社員にとってこの時期は少しずつ「差」が生まれはじめる時期なんです。
- 仕事の質
- 入社してから座学での研修やOJT(実務トレーニング)を経て10月からはほかの先輩社員と同じような仕事内容にシフトしていきます。それまでの仕事内容や会社から要求されるレベルの変化の「差」にとまどう新卒社員も多いんじゃないでしょうか。
- 仕事の量
- 仕事の質が変わると同時に仕事の量も圧倒的に増えはじめる時期です。知識が追いついていないから仕事はたまる一方。その「差」を埋めようとして残業時間がどんどん長くなっていくんです。
- 同期入社の仲間との差
- この時期になると同期入社の仲間との「差」も少しずつ見えはじめてきます。営業職であれば大きな実績を叩き出す同期が出てくることもあるでしょう。そのことが焦りになり精神的に追い詰められていくといのもよくあることではないでしょうか。
- 学生時代の友だちとの差
- 同じ会社の同期入社の仲間であればある程度おたがいの状況を理解し合えますが、学生時代の友だちとの「差」も気になりはじめます。となりの芝は青く見えますから。
投身自殺に追い込まれた大手広告代理店の新入社員の方はこの時期に「仕事の質」「仕事の量」が変わり100時間以上の残業をする状況になっていたそうです。
業務が大幅に増えたのは、試用期間が終わり、本採用になった昨年10月以降。部署の人数が14人から6人に減ったうえ、担当する企業が増えた。月100時間を超える時間外労働をこなしたこともあり、高橋さんは精神障害による労災認定の基準の一つを超えたと判断された。
※ 『朝日新聞デジタル』より引用しました。
わたしが新卒1年目の冬、原因は覚えていないのですが、地下鉄の中でなぜか突然涙を流したことがあるんです。
わたしが置かれていた状況は、亡くなられた方に比べれば全然たいしたことはなかったと思います。ですが、新卒者が1年目のこの時期に精神的に追い込まれる要素はものすごく多いんじゃないかと思うんです。
親の立場として
自分に子どもが生まれてからはさまざまなものごとを親の立場で考えることが多くなりました。今回の件ももし万が一自分の子どもが同じような状況に追い詰められた時に、親としてはどういう対処の仕方があるのだろうかとつい考えてしまいます。
大手広告代理店の新入社員の方が亡くなられたことが労災認定されたことについては、お母さんが記者会見を開かれており、亡くなられた当日のことは記事にもなっていました。
「仕事も人生も、とてもつらい。今までありがとう」−−。昨年のクリスマスの早朝、東京で1人暮らしの高橋まつりさんから静岡県に住む母幸美さん(53)にメールが届いた。あわてて電話し「死んではだめよ」と話しかけると、「うん、うん」と力ない返事があった。数時間後、高橋さんは自ら命を絶った。
※ 『毎日新聞』より引用しました。
この記事を拝見する限りでは、子どもからのSOSをお母さんは確かにキャッチし、最速の対応をされているように思います。
こんなのって…さすがにわたしはお母さんの気持ちを想像することは容易にはできません。
亡くなられた方はすでにウツの症状が相当深刻なレベルにまで達していて、もはや正常な判断ができない状態に陥っていたということなんだと思います。
「大手広告代理店勤務」という足かせ
わたしが最初にこの記事を拝見した時に、亡くなった方はどうして「退職」という選択をしなかったのかとふと思いましたが、すぐにその結論を出すのはやっぱりむずかしいことだったんだろうなと理解しました。
「大手広告代理店勤務」っていう事実がもしかすると最初から「退職」という選択肢を用意させなかったんじゃないかと。
このツイートを見ると、彼女は広告業界のクリエイティブな仕事にはやりがいを感じる瞬間があったんだろうなと想像できます。
日々ごりごりと数字を見てるだけに
クリエーティブの人の仕事を見るたびにこの仕事楽しい!って思うな。— まつり (@matsuririri) 2015年12月11日
クリエイティブな仕事に魅力を感じている上に、勤務先が大手広告代理店。かんたんには「辞めます」なんて言えないですよね。
ところで、わたしが新卒で入社した会社も当時は長時間の残業や休日出勤が常態化していました。
今思えば、わたしの場合はある意味めぐまれていました。勤務先は大手広告代理店ではありませんし、その会社には退職することが規定路線のような雰囲気があったんです。
会社の先輩が「(退職する)順番は抜かさんといてくれよ! 」と言ってくるような会社だったので。
わたしが新卒で入社した会社は「退職」という逃げ道がものすごくはっきりと見えていましたが、おそらく大手広告代理店勤務の彼女にはその逃げ道が見えにくい状況だったんだろうと思います。
従業員は会社が守るべき
会社は従業員を雇用している以上、従業員を守る義務があります。ですが、いくつかの記事を見る限りでは、亡くなられた方が勤務していた大手広告代理店では残業時間の過少申告が当たり前のように行われていたり、ハラスメントが横行しているように思いました。
そもそも会社の体制や風潮には疑問を感じますが、亡くなられた方が深刻なウツ症状に陥っていることに周囲が気づけなかったという点にも問題があるようにわたしは思います。
わたしが今まで働いてきた会社ではハラスメントに関する研修を受ける機会はありましたが、ウツ症状に対する理解を深める機会はありませんでした。
ウツ症状に関する知識を持ち合わせていると当事者としても早い段階で気づくことができ、上司や同僚が危険信号を感じ取る可能性も高くなるんじゃないかと思います。
また、従業員を守ることは会社として当然の義務ですが、特に新卒社員を守るのは社会全体で取り組むべき問題だと思います。
どんな制度があれば有効なのかはわかりませんが、例えばブラック認定された企業や今回のように過労死認定された企業の採用活動の停止など、強制的な制度があっても良いんじゃないでしょうか。
この記事のまとめ
夢や希望に満ちあふれた若い人が自ら命を絶つようなことは絶対に起こったらあかん! と強く感じます。
この記事を書いているのは10月初旬。新卒1年目の人たちが急激な「差」を感じはじめる時期が間もなくやってきます。
新卒社員といっしょに働いている人は注意深く見守ってあげるようにしましょう。
こんにちは! ごりら(@goriluckey)です!!