全国に約3万社あると言われる稲荷神社の総本社が京都・伏見にある伏見稲荷大社です。近年は「外国人に人気の観光スポット」としても有名で、毎日のように国内外から多くの観光客・参拝客が訪れています。
伏見稲荷大社では1年を通していろいろな祭礼・神事が行なわれています。まあいろんなイベントやってるよ! ってことですね。
今回は「伏見稲荷大社の田植祭(たうえさい)」を紹介します。
「節分祭」のような参加型ではなく観賞型イベントですが、たくさんの人だかりができる人気の神事です。
伏見稲荷大社のご利益
商売繁盛・五穀豊穣の神様として知られていて、2月の「初午大祭」(はつうまたいさい)で参拝者に授与される「しるしの杉」は商売繁盛のシンボリックなアイテムとして人気があります。
そしてこの田植祭はまさしく五穀豊穣を祈願する神事(イベント)ですね。伏見稲荷大社のいくつかの縁起(神社の起源)を見ても「稲」に関連することが多く「いなり」は「稲成」(いねなり)が由来とも言われているんです。
とにかく「いなり」と「稲」は超仲良しなんですよ。なので、伏見稲荷大社の田植祭は数ある神事の中でも象徴的なイベントですよね。
伏見稲荷大社の「稲」にまつわる神事
実は伏見稲荷大社では「稲」に関係のある神事が春から秋にかけて5回も行われているんですよ。稲を植える前には稲荷大神様に豊作をお願いし、収穫の後には豊作を感謝するんですね。
神事 | 内容 | 日時 |
---|---|---|
水口播種祭(みなくちはしゅさい) | 稲種(いなだね)を苗代田(なわしろだ)におろすにあたり、大神にその充実した生育を祈願するお祭 | 4月12日 11:00〜 |
田植祭(たうえさい) | ご神前に日々供饌(ぐせん)されるご料米(りょうまい)の稲苗(いななえ)を神田へ植えるお祭 | 6月10日 13:00〜 |
抜穂祭(ぬきほさい) | 4月の水口播種祭、6月の田植祭と大神のみたまの働きによって成長し稔った稲を刈り取るお祭 | 10月25日 11:00〜 |
火焚祭(ひたきさい) | 秋の収穫の後に、五穀の豊饒(ほうじょう)をはじめ万物を育てたもう稲荷大神のご神恩に感謝する祭典 | 11月8日 13:00〜 |
新嘗祭(にいなめさい) | 抜穂祭で刈取られた新穀を大神にそなえ今年の豊作を感謝するとともに、国の平安を祈念するお祭 | 11月23日 10:00〜 |
出典: 『伏見稲荷大社』
今回の「田植祭」はまさしく「神田」(しんでん)に大切な稲を植える神事です。
たくさんの観光客・参拝客があつまる田植祭(本殿編)
田植祭が行なわれるのは毎年6月10日。神事は最初に本殿、その後に神田へ移動してから田植が行なわれます。
13:00前になるとご祈祷を受けられる人たちが内拝殿(本殿の前にある建物)に入り、同じころに社務所前では神官がご祈祷を始められます。
13:00になると本殿での神事が始まりますが、残念ながら本殿での神事は撮影が禁止されているんです。
本殿のまわりにはたくさんの観光客が集まって神事を見守っています。特に内拝殿の前には通常の参拝客以上の人がいますね〜。
本殿の南側にも! ちょうど本殿と内拝殿の間から神事を見ることができるんですね。
もちろん本殿の北側にもたくさんの人が集まっています。神事が進むと雅楽器の音色が聞こえてきます。いや〜まさしく『ドラクエ3』のジパングのイメージですよ!!
見応えのある神田での田植祭(神田編)
本殿での神事が終わると実際に田植が行なわれる「神田」へ移動します。あ、神官たちが移動されている姿を撮影するのも禁止されているんですよ。
伏見稲荷大社の神田は本殿の北東にあります。ご祈祷受付所の前を通って稲荷山へと向かいます。ご祈祷受付所は早くも「本宮祭」の提灯が飾られています。
鳥居をくぐり階段を上っていくと正面に「玉山稲荷社」が見えてきます。ここを右に行くと有名な「千本鳥居」ですが、神田があるのは左です。
ちゃんと看板が設置されていて、稲穂のマーク付きで「神田」の方向も記されていますね。少し歩くと左手に小さい朱色の橋が見えるのでそこを渡ってください。橋を渡って左の方へ道なりに歩くと神田が見えてきます。
ここが神田です。神田は100坪ほどの大きさで約150kgのお米が収穫できるそうです。
神田での田植は14:00〜なんですが、こちらにもすでにたくさんの観光客が待機中! 外国人の観光客の姿もけっこう目立ちました。
14:00になると神官を先頭に平安装束を身にまとった神楽女(かぐらめ)らが次々に神田の畦道を通って入場します。
多くの観光客の視線が集まる中、神田での田植祭が始まりました!
初めに神官によって神田のお祓いがされます。
そして籠の中から斎串(いぐし)が取り出され、2人の神官が手分けをして神田に斎串を立てていきます。めちゃくちゃ神聖な感じです!
籠の中から早苗が取り出されました。
取り出された早苗は神官から田植の監督者へと手渡されます。
監督者がステージから神田へと降りると菅笠(すげがさ)姿の早乙女(さおとめ)らが立ち上がり、続々と歩き始めます。
中央の畦道に早乙女らが並び田植開始の号令を待ちます。
神田に入り田植が始まりました。
腰をかがめながらどんどん苗を植えて行きます。いや〜神事とは言え、この作業は大変そうですね。
ステージの上では雅楽器が奏でられています。「ピヨ〜」という音色が響きわたり雅やかな雰囲気に包まれています。
4名の神楽女(かぐらめ)による「御田舞」も披露されています。もうめちゃくちゃ良い感じ!
田植のあいだ、豊作を祈る御田舞が奏されます。
田植は14:30ごろまで続き、神官の合図で終了となりました。
この記事のまとめ
今回は「伏見稲荷大社の田植祭(たうえさい)」を紹介しました。
優雅な雅楽器が奏でられ御田舞が演じられる田植祭は五穀豊穣を願う大切な神事です。
一方でたくさんの観光客が集まりこの神事を見守っていたように、観光コンテンツとしてもものすごく価値のある神事だと感じました。特に外国人観光客にとっては最高の思い出になるんじゃないでしょうか。
秋にはこの神田で「抜穂祭」(ぬきほさい)が行なわれます。立派な稲穂に育っていると良いですね! 「抜穂祭」が行なわれるのは10月25日 11:00〜です。ぜひ伏見稲荷にお越しくださいね!!
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