2016年も3月12日(土)~21日(月)の期間「京都・東山花灯路 2016」が開催されます。
2003年から始まったこのイベントも今ではすっかり春の京都の風物詩として定着しています。
今回は「京都・花灯路」が京都市の観光施策として果たしている役割を紹介します。
京都・花灯路とは?
「京都・花灯路」という名のイベントは実は年に2回あるんです。
ひとつは冒頭で紹介した「東山花灯路」。2003年に始まったイベントで例年3月中旬に開催されます。青蓮院から清水寺までのおよそ4.6kmの小路に花灯路が並びます。
もうひとつは2005年に始まった「嵐山花灯路」で、こちらは12月中旬のイベント。嵯峨・嵐山エリアの路地およそ5kmに花灯路が灯されます。
開催時期やエリアは違いますが、幻想的な灯りで照らされた情緒あふれる夜の京都の散策を楽しんでもらおうというイベントです。
「灯りと花の路」と名づけられた散策コースにはインパクトのある大きないけばな作品が展示されています。
また、この期間には周辺の寺院・神社でも夜の特別拝観やライトアップが実施されます。
京都・花灯路のねらい
「京都・花灯路」のオフィシャルサイトにはこのような記載があります。
21世紀からはじまる京都の夜の新たな風物詩となることを目指して、平成15年3月から東山地域において、「灯り」をテーマとする新たな観光資源の創出事業である『京都・花灯路』が始まりました。
※ 『京都・花灯路』より引用しました。
ここで明確にされているように「京都・花灯路」は新たな観光資源の創出事業なんです。
わたしは京都に生まれて京都に育っているので逆にこれまではあまり気がついていませんでしたが、京都は日本の中でも特に豊富な観光コンテンツを持つ都市です。
その京都が新たな観光資源を創出する必要があった理由は「京都・花灯路」が始まった2003年当時の月別観光客数を見ると一目瞭然です。
紅葉の見ごろとなる11月をピークに 12月には観光客が激減し、1月・2月と冬季は非常に厳しい推移。
祇園祭という強力なコンテンツのある7月の観光客数も少ないのが意外に思いましたが、「冬は底冷えがして夏はむし暑い」という京都のイメージがこの数字に表れているように思います。
とにかく観光コンテンツが豊富な京都も2003年ごろは月ごとの観光客数のバラつきが激し過ぎることに課題があったんだと思います。
そのバラつきを解消する観光施策のひとつが「京都・花灯路」なんですね。
京都・花灯路が京都の観光客数を変えた!
『京都観光総合調査』を見ると、「京都・花灯路」が開始された2003年以降、外国人観光客の増加もあり京都の観光客数は順調に伸びているのがわかります。
2003年は年間の観光客数が4,374万人だったのが2014年は5,564万人にまで増えています!
そして、課題であった月別の観光客数はどうなっているか。まずはもう一度2003年の月別観光客数を確認しておきましょう。
もっとも少ない2月が186万2千人で、もっとも多いのが11月の665万5千人。その差は479万人もありました。
それが2014年の月別観光客数はこのようになりました!
もっとも少ないのは7月の388万4千人、もっとも多いのは3月の565万5千人です。その差は177万人に縮小されています。
「京都・花灯路」が開催される12月と3月を見てみると、このイベントがいかに強力なコンテンツかがわかります。
「京都・嵐山花灯路」が開催される12月は2003年に209万9千人だったのが2014年には倍増の425万7千人に!
「京都・東山花灯路」が開催される3月も2003年の399万9千人から2014年は565万5千人となり年間でもっとも観光客数が多い月になりました!
もともと3月の後半は桜の開花に合わせて観光客数が増える時期なのでそれまでの期間を「京都・花灯路」で集客することにより3月が年間最多の観光客数になったんですね。
どちらの「京都・花灯路」も開催期間中に100万人を超える来場者数と発表されているので このイベントが12月と3月の観光客数の増加に大きく貢献していることがわかります。
京都・東山花灯路のおすすめ!
さてさて、京都の観光課題を解消するほど強力なコンテンツに成長した「京都・花灯路」ですが、その華々しい成果とはウラハラに実はわたしはけっこう地味なイベントだと思っているんです。
確かに花灯路は京都の情緒あふれる夜を演出していますし、「いけばなプロムナード」にも目を奪われることでしょう。
ですが、そもそもこのイベントのコンセプトは「夜の散策を楽しむこと」なので、まあ、派手なイベントではないんですよね。
そこで、イベント感を楽しみたいのなら周辺の寺院・神社の特別拝観に行くのがおすすめです。
紅葉の季節にもライトアップ実施されていますが、わたしのお気に入りは青蓮院。庭園に散りばめられた無数の青い光が幻想的です。
清水寺の夜の特別拝観もおもしろいです。おもしろいという表現には違和感があるかも知れませんが、清水寺の境内にある「随求堂(ずいぐどう)胎内めぐり」がおもしろいんです。
光が一切届かない「大随求菩薩の胎内」を手すり代わりの大きな数珠だけを頼りに歩くんですが、これは超おすすめ!
この記事のまとめ
今年で14回目となる「京都・東山花灯路」。春の観光コンテンツとして大きな存在になっていますが、今後はリピーターを獲得できるかが鍵になりそうですね。
今年は「ネオンアート『NEON FOREST』」と「恋とうろう」という2つの新しいスポットが用意されているそうです。
また暖冬の今年はもしかしたら「京都・東山花灯路」の終盤になると場所によっては桜の開花もあるんじゃないか!? と期待しています。
ぜひ、夜の京都散策をお楽しみください!
こんにちは! ごりら(@goriluckey)です!!