五山送り火は京都の夏の風物詩ですが、全国的には「大文字」として知られていますね。
毎年8月16日にはたくさんの観光客が夏の夜に燃え上がる「大文字」を見るために、鑑賞スポットへ集まります。
ですが、もしも五山送り火の日に雨が降った場合はどうなるのでしょうか? 雨天決行? 雨でもちゃんと点火できるのでしょうか?
この記事では「大雨の五山送り火」を紹介します。
実は2016年8月16日の夜、京都市内にはとんでもない大雨が降ったんです。果たして五山送り火は無事に執り行われたのでしょうか!?
目次
五山送り火とは
五山送り火はお盆に帰って来たご先祖様の精霊を冥府へ送るという意味を持つ仏教的な行事です。
毎年8月16日にもっとも有名な「大文字」の点火を皮切りに5つの山に順番に火が灯されていきます。
- 大文字(東山如意ヶ嶽): 20:00
- 妙法(妙=万灯籠山/法=大黒天山): 20:05
- 船形(西賀茂船山): 20:10
- 左大文字(大北山): 20:15
- 鳥居形(嵯峨鳥居本曼荼羅山): 20:20
ひとつの送り火は点火されてからおよそ30分間炎を燃やし続けます。
山によって火床(ひどこ)の形状は違うようですが、例えば如意ヶ嶽の「大文字」の火床はこんなふうになっています。
この火床に木が組まれて点火され、ゴォーゴォーと炎が上がるんですね。
五山送り火は大雨でも開催される?
五山送り火は火を使う行事なので、やっぱり気になるのは天候です。
やっぱり、雨が降ったら点火できないから中止になるの?
そんな素朴な疑問がわき上がってきますよね。わたし自身は間近で送り火の炎を見たことはありませんが、はるか遠くからでも確認できぐぐらいの炎なので、ちょっとぐらいの雨では問題ないのは想像ができます。
五山送り火は雨で中止になることはないのでしょうか。
気になったので京都市観光協会に問い合わせてみました!
- 【Q1】五山送り火は雨が降っても実施されますか?
- 【A1】少々の雨では中止にはなりません。
- 【Q2】さすがに台風が来たら中止ですよね!?
- 【A2】そうですね。台風や“ふつうではない”雨が予想される場合には中止することもあります。また、雨足を考慮し通常20:00の点火を19:30に早めたこともあるようです。
- 【Q3】雨で中止になったことはありますか?
- 【A3】過去には中止になったこともあると聞いています。
過去には大雨により点火時間を前倒ししたり、中心になったこともあるそうです。(具体的な年までは確認していません。)
ところで、過去の8月16日の天気はどうだったんでしょうねー!
過去の五山送り火当日の京都市内の天気と降水量
「Yahoo! 天気・災害」で京都市(京都南部)の2010年以降の五山送り火当日(8月16日)の天気と降水量を調べてみました。
年 | 天気 | 降水量 |
---|---|---|
2018年 | くもり | 0.0mm |
2017年 | くもり | 0.0mm |
2016年 | 晴れ | 0.0mm |
2015年 | くもり | 0.0mm |
2014年 | 雨 | 1.5mm |
2013年 | 晴れ | 0.0mm |
2012年 | 晴れ | 0.0mm |
2011年 | 晴れ | 0.0mm |
2010年 | 晴れ | 0.0mm |
この表では五山送り火の当日はほとんど雨が降っていないように見えますよね…
わたし自身も調べながら「あれ…? 」っと思いました。実はこのデータは「15時の観測速報」なんですね。
なので、五山送り火当日の15:00時点では晴れていたのに、大文字に点火される20:00には雨が降っていたということもありえるわけです。
ええ、まさに2016年がそんなパターンだったんですよ…
2016年8月16日20:00、京都市内は大雨だった!
実際にわたしは大雨の五山送り火を経験したことがあります。それはもう散々な状況でしたよ…
2016年の五山送り火当日、わたしは「大文字」の鑑賞スポットとして知られる京都御苑にいました。ちょうど清水谷家の椋(しみずたにけのむく)の近くから「大文字」が見えるんですね。
この日わたしは自宅から地下鉄で京都御苑へ行きました。今出川駅の改札を出て階段を上がり出口付近に着くとたくさんの人がいました。
さすが京都御苑! やっぱりここも人気スポットやなー!
そんなふうに思いながら地上へ出ました。
そしたら、なんと…! わたしが地下鉄に乗っている間に突然大雨が降り出し、地上はとんでもないことになっていたんですよ…
観光客が「こんな雨でもあるんかな…」と不安を口にするような土砂降りの大雨です。
ものすごい大雨ではあるものの、この雨で五山送り火が中止になることはないので、わたしはあまり役に立ちそうもない傘をさして京都御苑へ向かいました。
「大文字」がきれいに見えるポイントには「蛤御門(はまぐりごもん)」から入るのがわかりやすいです。わたしは点火がはじまる15分ほど前に蛤御門をくぐりました。
- 「京都御苑・蛤御門」の地図
ものすごい大雨の中、たくさんの観光バスが並んでいます。きっと京都御苑で大文字を観賞するツアーが組まれているんですね。
それにしても雨はいっこうに止む気配はありません…
蛤御門から100mほど歩いたところに「清水谷家の椋」と呼ばれる立派な木があります。晴れていればこの場所から大文字を鑑賞することができるんですが、点火10分前にも関わらず、そんなに多くの人がいるようには見えません…
大文字の点火時間が近づくと観光バスで待機していた人たちがぞろぞろと出てきました。ですが、雨は無情にも降り続けています…
さ、さあ、5分前!!
真っ暗なのと大雨のせいで写真もまるで水墨画のようになっています…
正直わたしはこの時点であきらめていました。
もしも雨がピターっと止んだとしても、大文字の炎を見ることはできないと思っていたんです。と言うのも、空がかすんでいたんですよ…
それでもたくさんの人たちが点火を待ち続ける中、この場所でなにか少しでも見えればと願って待ちました。
そして、いよいよ20時!! 来い、来ーーーい!!
も、もしかしたら点火が遅れているのかも…。ものすごい大雨ですし…
うぅ…5分経過…!!
10分経過………た、頼む…お願いします…!!!
…。まったく見えません。
しばらくすると、いくつかの観光バスのガイドさんがいっせいに声かけをはじめました。
「点火ははじまっていますが、観ることができないのでバスに戻ってくださ〜い!!」
それはまさしく試合終了の合図でした…
五山送り火は大雨でも開催されるが見えないこともある…!
2016年の五山送り火は突然の大雨の中、執り行われました。
ですが、大雨のせいで空がかすみ、わたしがいた京都御苑まで大文字の炎が届くことはありませんでした。
地図で見ると直線距離で5〜6kmなんですけどねー
- 「大文字山(如意ヶ嶽)」と「京都御苑」の位置関係
たくさんの見物客を落胆させた今回の大雨ですが、京都御苑やそのまわりは本当にすごいことになっていました。
蛤御門から20mほどのところでは足首が完全に浸かってしまうぐらい。小川を歩いてるようなもんですよね。
京都御苑からの雨水が川のような流れになっていました。
こちらは地下鉄・丸太町駅の前のようすです。この近くのマンホールからは水があふれ出ていました…
この記事のまとめ
この記事では「大雨の五山送り火」を紹介しました。
大文字を観ることができなかったのは本当に残念でした…。まさか見えないとは思っていませんでしたし。
遠くから来られている観光客の人たちはわたし以上に落胆されていたでしょう。
当日の天気はどうすることもできませんが、遠方から五山送り火の鑑賞に来られる場合は今回のようなケースがあることも想定してプランを組んだ方が良いですね!
- 基本的に五山送り火は少々の雨では決行される
- 過去には大雨の影響で中止や点火時間が変更されたこともある
- 天候によって送り火の炎が届かない場所もあるので鑑賞スポット選びは大切
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大雨で五山送り火「大文字」の鑑賞ができなかったわたしはショックで落ち込みました。
ですが、実はその一方で「これはチャンスかも…!? 」という気持ちもあったんです。
そう! あまり知られていませんが、五山送り火が終わった後、厄除けや無病息災のご利益があると言われる「消し炭」を拾う風習があるんですね。
たくさんの人が立派な消し炭を求めて大文字(如意ヶ嶽)を登るので、大雨ならライバルが減るかもと考えたんですよ!
こんにちは! ごりら(@goriluckey)です!!